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◆内モンゴルのアンデシン鉱山
 内モンゴル産アンデシンは、内モンゴル自治区の首府であるフフホト(Hohhot)市から200kmほど西に位置する包頭(Baotou)市の固?県内に産出する砂礫岩の二次鉱床で採掘される。鉱床は中・新生代の陰山構造帯に分布している。アンデシンは主に農地や野原、山坂に産出し、分布範囲は東西20km余り、南北は約5kmで、面積は100km2におよぶ。露出地層には第四紀の腐植土以外、主に第三紀の砂礫岩、白亜紀の雑色砂礫岩が見られる。一部のエリアには凝灰岩や玄武岩層も出現している。アンデシンは灰緑色の砂岩層に発見されており(図-12)、結晶は集中せず、内陸湖や河川などの運搬により、幅広い範囲に分散し、比較的浅い地層(1-3m厚み)に埋蔵されている。風化されて地表に現れているものもあるが、原生鉱床は見つからなかった。固?県内にある水泉(Shuiquan)村と海卜子(Haibouzi)村において重機による採掘が行われており、月に10tのアンデシンが産出され、年間の採掘量は100tに達する(図-13)。アンデシンは透明度が高く、質のよい粒状結晶として産出し、一部の結晶に発達した劈開面が見られる。多くの結晶は0.3-5.5cmの大きさを有し、1-2cmのものが70-80%を占める(図-14)。ほとんどの結晶は淡黄色を呈し、無色や濃黄色のものは少なく、その他の色相のアンデシンは産出されていない(図-15)

図-12:
淡黄色アンデシンを含む砂岩層(内モンゴル水泉村鉱山)
図-13:
アンデシン原石を選別する回転式円筒ふるい。内モンゴル水泉村鉱山
図-14:
選出された内モンゴル産淡黄色アンデシンの原石
図-15:
筆者が鉱山で採掘した内モンゴル産淡黄色アンデシンの原石

◆分析方法および試料
 チベットと内モンゴル自治区の各鉱山から40ピースずつの赤色と淡黄色のアンデシン原石を採集し、そのうち10ピースずつを両面平行に研磨し、宝石学的な特性値およびEDXRF(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)とLA-ICP-MS(レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置)による組成分析を行った。以下の特性値は、この10ピースずつ、計20ピース(2-130ct)の測定結果である。
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