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◆チベットのアンデシン鉱山 チベットのアンデシンの鉱山は、チベット第二の都市であるXigazê (Shigatse)から70kmほど南に離れた地域に分布している。Lhasa市から車で7時間ほど走行すると、海抜4,000mを超える高地にある鉱区に到着した(図-3)。鉱区を訪れた時には、10名に満たない人数の工夫が山の断面に向かってピットを掘っていた。鉱区は山麓の沖積河床付近にあり、南と北の山麓に別れ、それぞれの分布範囲は、東西3-4km、南北5-7kmほどで、2006年1月から現鉱山の持ち主であるLi Tong氏の管理の下で正式に採掘がはじまった。現在の採掘現場は広大な鉱区のごく一部のエリアに限られており、4月から11月まで採掘が行われ、冬季は閉鎖されてしまう。工夫の話によると、「1970年代頃に、この地域から赤色アンデシンが採掘され、2003年からLhasa市内のJokhong Templeの前にあるチベット最大のバザール(Bakuo)で、ビーズ形をした赤色アンデシンが出回るようになった」という。 鉱区地域の最表層は厚さ0.5-3mmの第四紀の腐植土で、赤色アンデシンはその下の第三紀の堆積岩である黄白色の砂礫岩(図-4)と白亜紀の赤色および灰緑色の泥質砂岩中に分布している。鉱床は二次鉱床で、山の露出面に向かって数m深く掘っている(図-5)。北鉱区に深さ数mほどの直立型ピットがあったが、四川大地震の影響で、ピットは崩れてしまった。採掘は地元住民が家族で小規模で行っている。彼らは鉱山主から割り当てられた作業区画で、重機を使わず手作業で採掘や選別を行っていた(図-6)。アンデシンの結晶は所々に数個から十数個単位(100-200g)で集中しており、砂礫岩や泥質砂岩に埋没している(図-7、8)。雪解け水によって運搬され、幅広い領域に分散している。風化作用により結晶が丸みを帯びた形になっており、一部の結晶表面には溶蝕現象が見られる。ほとんどの原石は透明から半透明で、1cm以下のサイズのものが多く、最大粒は4cmに達する(図-9)。掘り出されたアンデシンの色は、オレンジがかった赤色の結晶がほとんどで、真っ赤な結晶は少なかった(図-10)。光を通すと、一部の石に緑色や無色の部分が見られるものの、褐色や黄色および無色の結晶を見つけることはできなかった。南と北の両鉱区の年間総産出量は700-800kgで、そのうち30-50kgが宝石質となる。鉱区の山頂部を視察すると、火成岩起源である火山岩や砕屑岩などが見られ、原生鉱床は火成岩起源であると思われる(図-11)。アンデシンは地下で優先的に成長し、火山の噴火によって地表に運ばれる。長い年月の風化作用による産出物である。
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