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新たに鉛以外にビスマス(Bi)が含浸されているケースにも遭遇したため、その特徴をご紹介します。 最近、アフリカのモザンビーク産と称されるルビーを検査する機会が増えている。これらの多くは加熱が施されたものであるが、中には非加熱として取引されているものも含まれる。モザンビーク産ルビーは、拡大検査におけるシルク様の針状インクルージョンや、板状〜針状インクルージョンの内包と赤外分光(FT-IR)における3081cm-1と3309cm-1の吸収が特徴的である。 また、加熱が施されたルビーには、加熱時に添加されたボラックスなどがフィッシャーや研磨面に透明物質や充填物として残留したものが認められる。以下にその内容を報告する。 |
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■はじめに アフリカのモザンビークからのルビーの産出は、現在までのところNiassa州とCabo Delgado州からの報告例がある1〜3)。現在、タイのGIAラボにおいて、Niassa州の3か所およびCabo Delgado州の1か所の鉱山への現地調査が進められているが1)、このうちNiassaのLichinga地方M'sawize村は2008年9月に発見された新しい鉱床であり、Cabo DelgadoのMontepuez地方はさらに新しく2009年2月に発見されたとのことである1)。これらの鉱山は、モザンビークの北部、タンザニアとの国境に比較的近い場所に位置しており、地質環境が近いために産出するコランダムの外観や宝石学的特徴も類似していると報告されている3)。ここから産出したとされるルビーを入手して分析した報告例が、GIAやSSEFによって紹介されている1−3)。 GAAJ-ZENHOKYOラボでも、実際の鑑別ルーティンで、2009年3月頃からこのようなモザンビークの新鉱山産であると考えられるルビーを見かけるようになった。当初は加熱されたものがほとんどであったが、非加熱として取引されているものも数多く見かけるようになった。さらに2009年の夏以降は、加熱時に添加されたボラックスなどがフィッシャーや研磨面に透明物質や充填物として残留したものが認められるようになった。 以下にこれまで検査したモザンビーク産と思われるおよそ500 ピース以上(うち非加熱100ピース以上)の結果を報告する。 |
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■検査結果 ◇外観特徴 これまでに検査したモザンビーク産と思われる非加熱のルビーの多くは、1.0 ct 〜 3.5 ctであり、ファセットカットが施されていた(図-1)。最新のGems & Gemology 3)において「他のアフリカ産のルビーに一般的に見られるようなオレンジ味を含まない」と報告されているが、当ラボで検査したルビーの色相は、マンセルの色表において、その多くが青味とオレンジ味を含んだ7.5RP 4.5/8-9 から5R 4.5/10-12の範囲にプロットされた。
◇内部特徴 拡大検査では、近隣のタンザニアWinza産のルビーの報告4−6)にあるような顕著な双晶面(図-2)や、液体―液膜インクルージョン、ネガティブ・クリスタル(図-3)、透明および黒色不透明な結晶インクルージョン(図-4、5)、および微小インクルージョンなどが見られた。表面近くに存在していた結晶インクルージョンをラマン分光分析および蛍光X線組成分析により同定した結果、最も一般的に見られる結晶は角閃石(パーガサイトの可能性が高い)であることがわかったほか、アパタイトも確認された。これはWinza産に報告されているものと同じである。今回観察された角閃石インクルージョンは、無色から薄い緑色を呈するものまであり、外形も、板状のものや丸みを帯びたもの、非常によく結晶面が発達しているものまでさまざまであった。さらに、長石を伴って存在しているものも見られた(図-5)。
その一方で、Winza産のルビーに特徴的に見られる青色色帯や、湾曲した針状インクルージョンは、現在までに遭遇したモザンビーク産のルビーには観察されなかった。それに対して、シルク様の針状インクルージョンや板状〜針状シルク・インクルージョンが、モザンビーク産のルビーには一般的に認められる(図-6)。さらに、双晶面上に多数の微小インクルージョンが分布している様子も特徴的に観察される(図-7)ほか、酸化鉄の溶液に由来すると思われるヘマタイトに似た成長模様がフラクチャー中に観察されることもある(図-8)。これらの特徴がモザンビーク産とタンザニアWinza産を区別する手がかりとなりうる。
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