[はじめに]
有核・無核の判別など、真珠の内部構造を調べるには、透視X線検査(レントゲン検査)が一般に行われてきた。この検査は非常に簡便で有効な検査であるが、得られるイメージは3次元的な構造を2次元平面に投影したものであるため、情報は限られてくる。それに対してX線CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)装置は、さまざまな角度から撮影した多数のX線透視画像をコンピューターによりソフト的に計算して再構築することにより、3次元的な内部構造をそのままイメージとして得ることができる。そのためこの手法を用いれば、従来のX線透視検査では判別困難な内部構造をとらえることができる可能性がある。
最近、The Journal of Gemmologyに養殖真珠の内部構造をX線CTで撮影した論文が発表された (Wehrmeister et al., The Journal of Gemmology, 2008, Vol. 31, No.1/2, pp. 15-21)。掲載されたイメージは非常に高精細な3次元像であるが、撮影には10時間以上要したと記載されており、ここで用いられている装置はラボでのルーティンワークで使用するには適さない。筆者の知る限り、日本国内の宝石検査ラボで真珠のX線CT撮影を行った報告例はないが、当ラボでは、市販されている汎用的なX線CT装置を用いて標準的な条件でさまざまな真珠のCT撮影を行い、その内部構造を観察した。今回撮影に用いたのは、東芝ITコントロールシステム社製マイクロCTスキャン装置TOSCANER -30900μC3(図-1)である。
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図-1:
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東芝ITコントロールシステム社製マイクロCTスキャン装置TOSCANER -30900μC3
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