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平成18年度“宝石学会(日本)”講演会から 2006.10.13
ターフェアイトとマスグラバイト<最近のラボ・トピックス>
全国宝石学協会 技術研究室:
岡野 誠(FGA, CGJ)、北脇裕士(FGA, CGJ)、阿依アヒマディ(理学博士)
 GAAJラボにおける最近のトピックスを以下に報告する。なお、本報告は平成18年度宝石学会(日本)の一般講演で発表した内容を一部加筆修正したものである。

はじめに
  ターフェアイトとマスグラバイトは一般に紫味を帯びた透明石で、まれに赤・青色味を帯びたものも見られる宝石であり、コレクターに人気のあるレアストーンである(写真-1)。両者は同じ鉱物グループ(MAGNESIO TAAFFEITE)に属する宝石であり、化学組成は極めて近似しているため、屈折率や比重といった諸特性も重複しており、標準的な鑑別方法では判別が不可能とされている宝石である(図1)
  今回の研究において、蛍光X線分析を用いた半定量分析およびラマン分光分析がこれらの判別に有効であることが分かった。以下にその詳細について報告する。

写真-1a:
マスグラバイト(左から0.34ct, 0.40ct, 4.50ct)/ふしぎ石研究室提供
写真-1b:
ターフェアイト(上段左から0.20ct, 0.39ct, 1.87ct, 1.37ct, 0.64ct下段左から0.74ct, 2.09ct, 2.19ct, 2.83ct)/ふしぎ石研究室提供
図-1:
ターフェアイトとマスグラバイトの特性値

経緯
  宝石品質のマスグラバイトは極めて希少性が高く、1993年に最初に報告されて以降、宝石学関連の文献(Schmetzer et al, 2000; 2005 a, b; Kiefert and Schmetzer, 1998)では合計しても8ピースしか報告されておらず、筆者らの知る限りではこれまでに日本国内でマスグラバイトを鑑別した報告はない。
  マスグラバイトが発見された当初は、X線回折X線分析法が唯一の判別方法であった。しかし、粉末回折法は破壊検査であるため宝石鑑別としては理想的な手段とは言えない。1998年にターフェアイトとマスグラバイトの鑑別におけるラマン分光分析の有効性が報告された。ラマン分光は非破壊で分析できる利点があるため、両者の鑑別には非常に有効な方法となる。しかし測定に供されたサンプル数が少なく、非宝石質のものであったため、その有効性については更なる検証が必要であった。
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