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結果 Table-3にNa、Mg、K、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Ga、Nb、Sn、Taなどの元素定量分析値を示す。マダガスカルとスリランカの両産地のブルー・に、ほぼ同量の高濃度のTi、Feが検出されている。マダガスカル産において、Tiは0.003%〜0.012%、Feは0.088%〜0.112%を示し、スリランカ産において、Tiは0.0008%〜0.017%、Feは0.018%〜0.113%である。Na、K、Cr、Gaなどの含有量はスリランカ産が若干高めの傾向を示すが、有意な差は認められなかった。 Sn(スズ)、Ta(タンタル)等の極微量の重元素はスリランカ産では検出限界以下であったが、マダガスカル産では数ppm〜数十ppmが検出され、両者に明確な差が認められた(Fig.-4)。Fig.-5は、世界6カ国のブルー・サファイアのCr2O3%/Ga2O3%とFe2O3%/TiO2%を取った“Chemical Fingerprint”である。玄武岩と非玄武岩起源のサファイアが明瞭に区別できる。
おわりに 以上、LA-ICP-MS分析法を用いたブルー・サファイアの産地同定の研究結果を示した。従来の手法(内部特徴の観察、分光学的手法、蛍光X線分析による微量元素の分析等)では識別が困難であった非玄武岩起源のマダガスカル産とスリランカ産ブルー・サファイアに明瞭な相違を見出すことが出来た。すなわち、スリランカ産では検出限界以下であったSn(スズ)とTa(タンタル)がマダガスカル産にはppmオーダーで検出されている。 LA-ICP-MS分析による極微量元素の分析は宝石鉱物の生成環境を知る上で重要な情報を提供してくれる。今後、さらにサンプル数を増やし、産地鑑別の精度をさらに向上させていきたい。 |
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