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GAAJ Up Date News 2004.03.22
pezzottaiteの名称使用について
(株)全国宝石学協会 技術研究室
高濃度のセシウムを含有する“ベリル”の表記を、これまでの「ピンク・ベリル」から「ペツォッタイト」に変更することをお知らせいたします。
2003年春、ツーソン・ジェムショーでデビューし、新種宝石として話題となっている高濃度のセシウムを含有する“ベリル”は、昨年の9月にベリル族の新鉱物種として国際鉱物学連合(IMA)に承認され、 pezzottaiteという名称が認められました。この名前はイタリア、ミラノの自然史博物館のDr.Federico・Pezzottaに因んでいます。同氏はこの石を最初に検査した研究チームの一人であり、これまでマダガスカル産の鉱物において多大な科学的貢献をした研究者です。
この石は発見当初から話題になり、セシウム含有量の多い“ベリル”として宝石情報誌などに登場してきました。今回の認定では、ベリル・グループであるものの、セシウムとリチウムが含有されることによって若干結晶構造が異なることが新鉱物の根拠となったようです。国際鉱物学連合(IMA)の規定では、認定後2年以内に新鉱物の公式な記載論文の発表が義務付けられています。そして新鉱物の名称は論文発表後が原則です。全国宝石学協会でもこの原則に従い、これまで pezzottaiteの使用は避け、ピンク“ベリル”と表記して参りました。
しかし、今回のケースでは宝石になったことで注目度が高く、インターネットなどで新鉱物の名称が論文発表前に広く紹介されてしまいました。またツーソン・ジェム&ミネラル・ショーのAGTAなど正式な展示会でもすでに pezzottaiteと表記されていましたし、GIAのGems&Gemology(2003年冬号)にも、 pezzottaiteとして宝石学的特徴が紹介されています(Gems&Gemologyの著者の一部は公式な記載論文を現在準備中の著者とも重複しているとのことです)。このような状況から全宝協でも今後、 pezzottaiteの表記を行うことに踏み切りました。
さて、日本語で使用する場合、 pezzottaiteのカタカナ表記が問題となります。国内には公的に決定する機関はないのですが、人名や地名の場合、その発音を出来るだけ正確に表記するのが通例です。鉱物科学研究所の堀 秀道氏が直接Dr.Pezzottaに会われた際に確認されたところでは“ペツォッタイト”がふさわしいとのことです。今後、国内では混乱なく、この表記に落ち着くと思われます。
今回の一件で、国際鉱物学連合(IMA)でも新鉱物として認可された名称の公表の方法について改めて議論され、今後インターネット等のメディアの導入も検討されているようです。

宝石鑑別書ならびにカラーストーン・ソーティング・メモにおいて下記のとおり表記いたします。
<鑑別書での表記>
 結果:天然ペツォッタイト
 備考:ペツォッタイトは、セシウム(Cs)とリチウム(Li)に富むベリル グループの変種です。

■ペツォッタイトの鑑別には特殊分析検査(蛍光X線分析装置を用いた組成分析)が必須となります。鑑別書またはカラーストーン・ソーティング基本料金の他に、特殊分析検査料として2,100円(税込)を申し受けます。



 

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