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最近、マダガスカルで発見され話題になっている高濃度のセシウムを含有したピンク"ベリル"について報告する。 This is a report on pink "beryl", which is containing high concentration of caesium. This material was found in Madagascar and has been in the news lately. 今年2月のツーソン・ショーでデビューし、話題を集めている宝石に高濃度のセシウム(Cs)を含有したピンク色の"ベリル"がある。この石はその魅力的な色合いから"ラズベリル"のコマーシャル・ネームで呼ばれている。 この新種の宝石は、昨年の11月にマダガスカル中央部のMandrosonoro村近郊のぺグマタイトから発見されている。この地のペグマタイトはもともとフランス人によってトルマリンの鉱床として開発されたが、近年は村人による採掘が行われており、この"ベリル"の発見につながった。この石の特徴として、他の研究者の予備的な分析から高濃度のセシウムの含有が指摘されていたが、当技術研究室の分析でもそれを確認することが出来た。 今回、分析に供したのは10数ピースのカット石で、ほとんどはカボションにカットされており、その中でチューブ・インクルージョンを多数内包するものは明瞭なシャトヤンシーを示していた(PHOTO-1)。 屈折率はスポット法では1.61で、ファセット・カットされたものでは1.603−1.611とベリルとしては異常に高い値を示した。また、比重も3.10前後と極めて高い値を示した。これは後述するように原子量の大きいセシウム(Cs)を高濃度に含有するためと考えられる。 |
通常光ではピンク黄色(Photo-2左)、異常光では紫色(Photo-2右)の明瞭な二色性を示し、この多色性がピンク・トルマリンとの識別の一助になる。 |