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フォト・ルミネッセンス法によるダイヤモンドの鑑別(要旨)
全国宝石学協会  北脇 裕士
                  岡野 誠 

 近年、ダイヤモンドの色の起源に関する鑑別の重要性はますます大きくなっている。
 一見、同様な色に見えるダイヤモンドにも、ナチュラル・カラー、放射線照射、HPHT、処理、合成などが存在する。特にHPHT処理によるカラー・ダイヤモンドは積極的にプロモートされ、国内の宝石市場における流通量が増加する傾向にある。
 本研究では、RENISHAW社製顕微ラマン装置RAMASCOPE SYSTEM 1000Bで励起用レーザーとして514nm Arレーザーを用いて各種ダイヤモンドの測定を行い鑑別への有効性を探った。測定はすべて液体窒素を用いて零下150℃で行った。


 鑑別上最も問題となるケースが多い黄色系のダイヤモンドを例にすると・・・

 <ナチュラル・カラー>
 ・Ibタイプでは特筆すべきピークは見られない
 ・H‐richタイプでは761,700,694,655,640,603のピークが見られる
 ・H3タイプ(いわゆるChartreuse)575<535
 ブラウン系の地色で強いH3蛍光を発するものは575≪535

 <処理>
 ・照射によるイエローには773,741,723,703,680,637,612,587,575,561,535が見られる。
 ・HPHT処理によるものは575<535で、あるものは強い637ピークが見られる。

 <合成>
 ・ロシア製などNiを溶媒に用いたと考えられるものには859,844,836,822,814,808,800,793,774,747,615,598が見られる。
 ・住友電工製(Fe,Ni?)には693,691,636が認められる。


 以上のようにカラー・センターの原因については不明確なものも多いが、フォト・ルミネッセンス分光分析はカラー・ダイヤモンドの
鑑別にきわめて有効で、今後その応用が期待できる。

◎発表内容の詳細は、宝石情報誌「GEMMOLOGY」に掲載いたします。


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