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KM処理が日本の宝石市場に登場して2年以上が経過した。この処理の特徴と現状について報告する。 More than two years have passed since KM treatment appeared on the Japanese gem market. The features and its present state are reported here. 2000年の6月頃から新しいレーザー技術を用いたダイヤモンドのクラリティ処理が日本の宝石市場で見られるようになった。これはヘブライ語で「特別なドリル」を意味するKiduah Meyuhadの頭文字をとって「KM処理」と呼ばれている。 従来のレーザー・ドリリングではレーザーの熱によってダイヤモンドのダーク・インクルージョンに達する穴を開ける。その結果生じたドリル・ホール(チューブ・インクルージョンのような細い円筒形の穴)はインクルージョンを漂白あるいは除去するための強酸液(硫酸や王水など)の通路となり、またダイヤモンドが蒸発する際に生じた気体を排出する役目も果たしている。一方、KM処理ではこのようなドリル・ホールは形成されない。対象となる異物(美観を損ねるダーク・インクルージョンや黒っぽいフェザーなど)にひとつあるいは複数のレーザー・ビームがフォーカスされ、インクルージョンの膨張を誘発するのに十分な熱が発生する。その結果、自然に発生した亀裂やクリベージに極めて近い外観をもつ人工的なフェザーが生じ、従来のドリル・ホールと同様の役割を果たす事になる。 KM処理は黒色のインクルージョンを漂白することにより、ダイヤモンド業界での一般的な評価は良くなるが、もともと存在しないフェザーを発生させるため、クラリティ・グレードの改善は期待できない。これまでの実務においてKM処理が施されている割合がもっとも高いのはSIクラスである。 |
KM処理で生じたフェザーにはいくつかのタイプが知られているが、最近よく見かけるものは網目状(Photo-1)と噴水型(Photo-2a)のタイプである。前者は黒色のフェザーを、後者は黒色の結晶インクルージョンをターゲットにしたものが多い。
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