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今月の鑑別室から 2000.6
ファンシー・イエロー系のカラー・ダイヤモンド
<Fancy Yellow Diamonds>
 視覚的にファンシー・イエローのダイヤモンドには天然(ナチュラル・カラー)、処理(照射、HPHT)、合成などがある。 以下にそれぞれの特徴についてご紹介する。
Diamonds visually appearing fancy yellow colour actually have different origins of natural (natural colour), treated (irradiated or HPHT treated) or synthetic. Characteristic features of each origin are reported here. 
 カラー・ダイヤモンドは色の評価をする以前にその色の起源を鑑別する必要がある。近年ではナチュラル・カラーと視覚的には区別がつかない処理や合成が存在し、市場に流通している。特に、ファンシー・イエロー系のダイヤモンドは鑑別上問題となるケースが多く、その識別にはラボラトリーの技術(紫外−可視分光、赤外分光、CLなど)が最大限利用されている。

◆ナチュラル・カラー
ナチュラル・カラーの天然ダイヤモンドである。カラー・グレードの低いケープ・イエローと区別するため歴史的にカナリー・イエローと呼ばれている。
Ibタイプに属するが、ほとんどの場合IaAの要素ももっている。また、相当量の水素を含有するタイプもある。

◆照射処理
 カラー・グレードの低いケープ系の天然ダイヤモンドを原材にして放射線(通常は電子線)を照射し、アニール(熱処理)したもの。分光分析により595センタ、H
IbおよびHIcセンタなどが検出された場合、処理の明確な証拠となる。
◆HPHT処理
 現在、Novaプロセスとして業界の話題となっている。ダイヤモンド合成装置を用いた高圧下での加熱処理。
Iaタイプのブラウン系の天然ダイヤモンドを原材としている。鮮やかなグリーニッシュ・イエローの色調と同系色の紫外線蛍光が特徴である。近赤外分光分析においてH2センタの検出が処理の証拠となる。

◆合成
合成ダイヤモンドで最も一般的なものが
Ibタイプのイエロー系である。合成結晶そのものにも多様な色調があり、さらに照射処理、HPHT処理で色調が変化したものもある。したがって、視覚的な特徴だけでは天然との識別は不可能である。
CL法が合成起源を明確にする最も有効な手法である。

注)写真で示した色調はそれぞれの代表的なものですが、この限りでないものもあります。


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