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今月の鑑別室から 2000.4
Novaプロセス”によって処理されたカラー・ダイヤモンド
<Colour Diamonds treated with “Nova Process”>
“Novaプロセス”によって処理されたグリーニッシュ・イエローのダイヤモンドを研究用に入手し検査した。以下にその宝石学的特徴について報告する。
A greenish yellow diamond treated with “Nova Process” was obtained for study. Gemmological properties of the stone are reported here.
 NovaDiamond社によるカラー・ダイヤモンドの処理については、本誌においても既に報告している(1999年3月号および4月号10〜11頁参照)。これはブラウン系の天然ダイヤモンドをHPHT処理によってイエロー〜グリーンに改変するというもので“Novaプロセス”と呼ばれている。 NovaDiamond社によるこの技術は米国において特許を取得したと報告されているが、同様のプロセスによる処理がロシアや中国の技術でも行われており、既にその一部は市場に流入していると考えられる。
 今回当研究室で入手したサンプルはツーソン・ミネラルショーでレアー・ストーンを専門に扱う業者から購入したものでどこの国の技術において処理されたものかは不明である。
 サイズは0.954ctでラウンド・ブリリアント・カットが施されている。色調は鮮やかなグリーニッシュ・イエローで、時に chartreuse-colour(フランスの最高級のリキュールの色)と呼ばれる希少なナチュラル・カラーのダイヤモンドのそれと類似している(写真−1)。この種の色は本誌で連載した“カラー・ダイヤモンドの識別”おいてはライム系として分類しているものに相当する。N3およびN2センタによるイエローのボディー・カラーにH3センタによるグリーンの蛍光色が付加した結果による。
 拡大下においては八面体面に平行な交差するブラウン〜イエローのグレイニングが認められ(写真−2)、この部分がファイバー光によって励起されグリーンの蛍光を発する(写真−3)。また偏光下においてはグレインに沿って干渉色を伴う歪み複屈折が認められる(写真−4)
 紫外−可視および近赤外領域の分光測定においては従来の照射処理を示唆する吸収ライン(595センタ、H1bおよびH1cセンタ)は認められない。しかし、特筆すべきこととしてナチュラル・カラーのダイヤモンドには報告のないH2センタ(986nmのゼロ・フォノン線)が検出された。H2センタはH3センタがマイナスにチャージした状態(N−V−N)−と考えられており、照射後、高温でアニールしたもの (例えば1750°C at5 Gpa for 17h)に見られる。したがって、H2センタの存在は高温で処理されたことを強く示唆する。 A.T.Collins博士によると NovaDiamond社による処理のダイヤモンドにもH2センタが検出されており、この欠陥の強いものほどグリーニッシュである。
    
“ Novaプロセス”よる処理はその特徴的な色調、カラー・ゾーニング、歪み複屈折等の一般鑑別において識別可能で、分光分析によるH2センタの検出でより確実となる。


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