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今月の鑑別室から 2000.3
カラー・ダイヤモンドの新処理法について
<New Treatment for Colour Diamonds>
昨年末、米国のNovaDiamond社によるカラー・ダイヤモンドの新処理法が公表された。これは、すでに話題にになっているGEプロセスと類似のHPHT処理である。
以下にその内容について報告する。(写真)

A new treatment for colour diamonds was announced by NovaDiamond Corp., the States, at the end of last year. This is the HPHT treatment similar to the GE process that has been talked about. The content is reported here.
 昨年の宝石業界における最も大きな話題の一つとして、GE社によるダイヤモンドの処理が挙げられる。これについては、本誌においてもすでに報告しているように(1999年12月号)、
II型のブラウン系ダイヤモンドを高温高圧下で処理し、ほぼ無色にするというものである。全宝協では昨年3月末にこの情報を入手して間もなく、無機材質研究所の神田久生博士と、天然ダイヤモンドのHPHT処理の効果について共同研究を開始し、現在も砂川一郎博士の有益な助言を得ながら鋭意継続中である。その成果の一部については、宝石学会(日本)や高圧討論会において公表し、本誌にも報告済みである(1999年10月号)。
 
これまでの我々の共同研究では、
1.<ブラウン系ダイヤモンドを処理によって淡色化する;GEプロセス> 
を再現するとともに、別の変化
2.<Iaタイプのブラウン系ダイヤモンドを処理によって黄色系にする> 
を確認している。昨年来、宝石業界においては1.のGEプロセスの話題のみが先行していたが、我々はむしろ1.のプロセスも将来的に重要な問題となると懸念していた。
 さて、昨年末公表されたDiamond社によるカラー・ダイヤモンドの新処理法というのは、天然のブラウン系ダイヤモンド(Iaタイプと思われる)を50〜60kb、2000℃以上のHPHT処理によって緑黄色〜黄緑色にするというものである。すなわち、我々がすでに経験し懸念していた2.のプロセスと温度圧力条件等は異なるが原理的にはほぼ同様と考えられる。NovaDiamond社は処理したダイヤモンドにはNovaDiaのロゴとシリアルナンバーを刻印するとしているが、今後どのように市場展開させてゆくか、その動向が注目される。
 宝石業界、特に鑑別ラボにおいて最大の関心事は、この新しいNovaプロセスが看破可能であるかということであろう。現在、我々はKings's CollegeのA.T.Collins博士(ダイヤモンドの光学中心における世界の第一人者)の協力も得てNovaプロセスを含むHPHT処理についての共同研究を進めている。これまでの研究過程において我々は、Novaプロセスのダイヤモンドは検出可能と考えている。詳細は学術誌に現在投稿準備中で、この問題解決に対して有益な情報を提供しうると信じている。


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