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近年、学会や情報誌などでも合成ダイヤモンドについての報告が毎年のように行われており、その関心の高さと宝石学における重要性がうかがえる。 |
◆合成IIbブルー・ダイヤモンド 窒素ゲッター(Ti,Al,Zrなど)とホウ素を添加して濃淡様々なIIb型の合成ブルー・ダイヤモンドが得られる。合成石も天然石もIIb型であるため、分光や電導性検査、紫外線蛍光では起源を証明できないが、偏光下で天然特有の“タタミマット”が認めらず、液浸(ヨウ化メチレン)することで成長分域に規制された色むらが顕著に観察できる。 【fig-8】 また、金属インクルージョンの存在【fig-9】や短波紫外線にて数分から十分を越える強い燐光も合成の典型的な特徴である。CL像では、セクター(分域)に規制された色むらがより明瞭に認められる。 これはホウ素のセクター依存性が強く、八面体成長領域に入りやすいためである。【fig-10】 <3>ピンク〜レッド系ダイヤモンド【fig-11】 ◆天然ピンク〜レッド系ダイヤモンド ナチュラルカラーのピンク・ダイヤモンドの他に、Ibタイプのダイヤモンドに放射線照射〜アニールすることにより得られる色調がある。そのため各種検査によって処理であることが解っても、生成起源を識別しなくてはならない。天然石を照射処理したものは、CL像にて、後天的な塑性変形に起因する八面体面に平行な細線が認められる。【fig-12】 ◆合成ダイヤモンド(カラーチェンジ・タイプ) 自然光下で緑黄色が強く、白熱光下でオレンジ色が強く見える色調をもつ。おそらくIbタイプの合成ダイヤモンドを電子線照射+アニールの工程を経て得られたものと推測される。八面体面成長領域ではH3センタ−による黄緑色蛍光を発し、六面体成長領域ではN−Vセンタ−によるオレンジ色蛍光を発し、これが変色性に関与していると考えられる。CL像では、六−八面体のセクターゾーニングが明瞭に捉えられる。【fig-13,14,16】 また、六面体成長領域(オレンジ色発光部)に認められる直線的な成長縞は天然には見ることのない合成を示唆するものである。【fig-15】 |