>>Topへ戻る >>「Research Lab. Report」タイトルリストへ戻る |
|
||||||
GE社が新技術で処理したとされるダイヤモンドを5ピース研究用に入手し検査した。その宝石学的特徴について報告する。 本年5月末よりGE社が新技術で処理したダイヤモンド(ある種のブラウンをカラレスにするといわれている)をアントワープのPOL社が販売している。処理方法は公表されてはいないが、研究者の間では高圧下での熱処理(HPHT)と考えられている(本誌10月号参照)。これらのダイヤモンドはすべてガードル部にGE POLの刻印が打たれて(写真−1)販売されている。 今回入手したサンプルは5pcとも1ct未満でE〜Kカラー、VS1〜VVS1の範囲であった(写真-2)。実際に販売されているものは1〜2ctのものの割合が高く、クラリティーおよびカラー・グレードも高いものが多いらしい。また、ペアシェイプト、マーキーズおよびハート・シェイプトのような変形カットが全体の八割を占めると言われている。 今回検査した結果、一般的な宝石学的特徴として以下の2点が確認された。 1.長波・短波紫外線下での蛍光がまったく無しか極めて弱い。 2.偏光下(クロス・ニコル)で“タタミ・マット”構造(写真−3)が認められる。 |
これら(特に1.)はII型のダイヤモンドの特徴である。したがって、短絡的に処理の証拠とは言い難い。 また、処理の特徴になるかどうかは今後の研究課題であるがインターナル・グレイン・ライン(写真−4)やダーク・インクルージョン(写真−5)が一部に認められた。 紫外−可視および赤外領域の分光測定においても窒素の含有量のほとんどないII型であることが確認された。 以上の検査結果および継続的に行っているHPHT処理実験から、GE POLダイヤモンドは、宝飾用天然ダイヤモンドに占める割合が極めて低い(通常1%未満と見積もられている)II型のブラウン系が処理の原材になると考えられる。II型のダイヤモンド原石は、一般晶癖の八面体と異なり平板状となることが知られており、それがGE POLダイヤモンドにファンシー・カットの多い要因と考えられる。 |