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◆はじめに◆ |
◆CL像特徴◆ 【天然アレキサンドライト】 ◆スライドー1 複雑な累帯構造と分域構造が天然のカソード・ルミネッセンス像(以下CL像と略します)特徴である。 写真−1は、複雑な累帯構造を示す典型的な天然石のCL像特徴である。 クリソベリル種に典型的な、角度をもって平行に繰り返される成長構造も観察できる。成長縞は不規則な間隔で平行に分布している《写真−2》。 顕微鏡拡大下、液浸状態で、成長境界の接面が段状成長線となって見える部分《写真−3a》をCL法で観察すると、異なる発光分域を示す《写真−3b》。 【合成アレキサンドライト】 ●溶液からの合成法 クリエーティブ・クリスタル社製フラックス法合成石は、顕微鏡拡大下、液浸状態で、等間隔で直線的な成長縞が確認できる《写真−4a》。 これをCL法で観察すると、成長分域がたいへん明瞭なCL像として現れる《写真−4b》。成長縞の間隔はやや広くクリエーティブ・クリスタル社製の特徴と言える。 一方ロシア製は、同様に等間隔で直線的なCL像を示すが、その間隔は非常に密である《写真−5》。このことは両者の製造環境に関係があると推測される。 ●融液からの合成法 京セラ製結晶引き上げ法合成石を顕微鏡拡大下、液浸状態で観察すると、融液からの合成を示唆するゆるやかな曲線状の色帯が観察される《写真−6a》。 CL像では,これに対応する成長縞が観察される《写真−6b》。 やや不鮮明なコントラストだが、よく見るとわずかに曲がっているのがわかる。 方向によっては、ほとんど直線に見えることもあり、天然石の平行状成長縞と誤認しないように注意が必要である。 写真−7はロシア製結晶引き上げ法合成石のCL像である。間隔の狭いものから広いものまであるが、これは結晶育成の制御技術の違いと思われる。 最後にフローティング・ゾーン法である。 焼結した原料を融解して結晶させるこの方法では、結晶構造に一定の規則性がなく、そのため拡大下にて直線的から糖蜜状、脈理状まで 変化にとんだフローラインが観察される《写真−8a》。 CL像は、フローラインに一致したパターンを示す《写真−8b》。 このように、フローティング・ゾーン法の特徴である、成長構造に従った、不規則で、分域的な歪みを鮮明に確認することができる。 以上の結果を表―2にまとめる。 このように、CL法は結晶成長の情報を得るための有効な手段として、通常の拡大下で観察される天然及び合成石の成長構造が、 より明瞭に捕らえることができることは、識別上大きな一助となる。 アレキサンドライトは、貴石の中でもルビーと並んで合成石に遭遇するケースが多い種類であるとともに、これからも 新しい種類の合成石が供給されることが懸念される。 今までの一般的な鑑別法だけでなく、組成分析や、CL法等を組み合わせた鑑別技術の確立が一層必要となる。 |