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ルビーの天然・合成の識別は鑑別業務において最も重要な作業のひとつである。 |
◆カシャン(Ruyle Laboratories) ◇拡大:ペイント・スプラッシュと呼ばれるフラックス・インクルージョンとコメット状と呼ばれるディスロケーションが特徴であるが、昨年の後半から明らかに加熱により内部特徴が変質したものに遭遇するようになった。 1)天然に酷似したフェザー・インクルージョン 2)加熱された天然に特徴的なスノー・ボールに酷似したフラックス・インクルージョン(写真−4) 3)結晶構造に沿って配列する微小インクルージョン (写真−5)の存在は拡大検査による鑑別を困難にしている。 ◇蛍光:短波は白濁蛍光 ◇分光:668nm,659.2nmの吸収の位置が693.5nmより低い。 ◇元素:Ti,(V),Cr ◆ラモラおよびドーロス(Fine to Gem,Included, Rough Crystal) ◇拡大:双方とも同様な製法で造られており(無核 核形成)インクルージョンは酷似している。 1)メッシュ状のフェザー 2)オレンジ味のあるフラックスが特徴的である。 ◇蛍光:長波・短波ともやや強め ◇分光:紫外部の透過率やや高め ◇元素:Cr,Fe,Ga,(Pb) ◆クニシュカ ◇拡大:市場で遭遇することは稀であるため、これまで特徴が報告されたれは例は少ないが、― 1)ウイスプ状フェザー・インクルージョン 2)二相インクルージョン 3)メッシュ状フェザー・インクルージョン 4)色むらを伴ったジグザグ状の成長線(写真−6)が特徴的と考えられる。 ◇蛍光:長波・短波ともやや強め ◇分光:天然と酷似 ◇元素:Ca,Ti,Cr,Fe,K,W (写真−7) ☆結論 鑑別上、困難を伴うことの多い合成ルビーであるが、各製法およびメーカーごとの特徴を系統的に把握することが重要である。 拡大検査および紫外線蛍光などの一般鑑別法に習熟することが最も重要であることは言うまでもないが、 紫外−可視分光分析およびEDXRFによる微量元素の分析を組み合わせることにより、ルビーの鑑別は確実なものとなる。 |