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最近、無色の天然アイオライト(=コーディエライト)を2pc鑑別する機会を得た。無色のものは宝石としては珍しいので、以下に特徴を報告する。(写真) ジュエラーやジェモロジストにとってアイオライトという石は青色の自色鉱物としてよく知られている。実際、宝石にカットされているアイオライトは例外なく帯紫青色であるし、語源的にもその色に名称が由来している。すなわち英名のIoliteはバイオレットを意味するギリシャ語の“Ios”に由来するし、和名もやはり“菫青石”と呼ばれている。アイオライトは多色性の強い石なのでダイクロアイト(Dichroite=二色性の石)という別名があり、また最初にこの石を研究したフランスの地質学者 P.L.A.Cordierに因んでコーディエライトとも呼ばれている。鉱物学的にはアイオライトよりもコーディエライトの名称が一般的で、鉱物名としてはコーディエライトとして記載されている。したがってアイオライトはコーディエライトの宝石名と言えるであろう。 さてアイオライト(=コーディエライト)の化学式は(Mg,Fe)2Al3(Si5Al)O18 で表される。Fe2+とFe3+との電荷移動で青色に着色すると考えられており、その着色原因を主成分として含有するので自色鉱物と言える。しかし、通常宝石に利用されている青色のアイオライトでも常にMgに富み、Fe/(Mg+Fe)<0.5である。 |
実際に分析してみると写真に示す通常の青色のアイオライトでもFe2O3を1〜3wt%程度しか含有していない。同様に写真に示す無色のものはさらにFe2O3の含有率が低く、0.6wt%程度であった。したがって、今回紹介するこの無色の石はFeの含有量が低いため着色しなかったものと考えられる。そこで鑑別結果と言うことになるが、アイオライトが本来青色に由来する宝石名であるので、この無色の石の場合はアイオライトというより、コーディエライトの方が適当であると思われる。
特性値は以下の通りである。
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