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最近、10ct upの無色透明石が3ピース、鑑別依頼で持ち込まれた。これらは検査の結果、天然タンブライトであることがわかった。 このような大きなサイズのタンブライトは比較的珍しいので、以下に宝石学的特徴をご紹介する。(写真) 依頼石は3ピースとも、ステップ・カットあるいはファンシー・カットが施された無色透明石で、リングに加工されていた。重量は、セット石のため測定できなかったが、それぞれ12.47、11.04、10.97ctの刻印が打たれていた。 |
ダンブライトの一般的な宝石学的特徴は以下のとおりである。
ダンブライトはR.I.が主要宝石のトパーズと近似する。したがって両者の特徴と光学性を正確に把握しておかないと、鑑別が困難なことが予想される。トパーズのR.I.は、 α=1.607〜1.629 β=1.610〜1.632 γ=1.618〜1.649 D.R.は0.008〜0.010で二軸性正号である。この値はOHタイプとFタイプで異なるが(OHタイプはR.I.が高め)、いずれのタイプも中間値βは明らかにαに近く、D.R.は最低でも0.008以上である。これに対してダンブライトのβ値はαとγのはぼ中間値となり、光の波長(色)によって正号と負号が逆転する。また、D.R.は明らかにトパーズに比べて低めである。ダンブライトの産状は、ドロマイト中あるいは花崗岩質岩石中の炭酸塩岩脈に産する。産地は米国コネチカット州Danbury(Danburiteの語源となる)、メキシコ、ビルマ、日本(尾平)、マダガスカル、ロシアなどである。 |